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日記的な

日記だよ!でもアメリカに住んでる→日記なのに日付がずれる!→こまけぇこたぁいいんだよ!

渡米してからはや10年、髪の毛を自分で切る理由

少し忙しかったけど、今日も仕事はいつも通り。きちんとこなして夕方帰宅。夜にはバスルームで伸びてきた髪の毛を少し切った。

 

アメリカに来て約10年。初めて自分で髪を切った時の感動は忘れられない。日本にいる時は毎月のように原宿にある美容室で5000円とか払って切ってもらっていた。しかし当時の担当美容師さんには失礼だが、これこれこれだよ!!っていう満足感は得られたことは1度としてなかった。それが自分で髪を切り始めた途端に、人生史上最大の満足感が。確かにプロのように上手くは切れない。しかし、自分でやるんだからというある程度のあきらめ感と、うまく言葉で伝えられていなかった微妙な好みが自分できることで達成され無常の喜びが得られた。それ以来、髪は自宅のバスルームで自分で切るのが当たり前になった。ちなみに後ろ髪は妻に切ってもらってます。定期的に後ろ髪を切ってくれる人ができたことは、結婚してよかったことの1つ。

 

こんな私だが、初めて自分で切ってみようと決意したのにははっきりと理由があった。きっかけは些細な事。一緒に留学してきた日本人の友人の1人が、髪を切りに近くの床屋に行ってきた話を聞いた時。彼は渡米時、長すぎず短すぎずの日本でいう平均的な髪の長さの男だった。彼曰く、店に入って鏡の前に座ってから店員さんが「どんな感じがお好みで?」的なことを聞いてきたらしい。アメリカに着いてまだ数週間しか経っていなく、話す英語もまだぎこちなかった頃。彼はあーしてこーしてと詳細な希望を伝えられる英語力もなかったので曖昧な返事をした所、店員さんが1つ質問をしてきた、と。

 

 君はアウトドア派かい?インドア派かい?

 

髪型とどんな関係があるのかさっぱり分からなかった友人だったが、いや待てよと彼はとっさに考えた。

 

アメリカでアウトドアって言ったら、野生動物のハンティングとか大自然の中でのキャンプとか荒野をヒッチハイクとか。とてもじゃないが俺はそんなタイプじゃない。まして、こっちのアウトドア派なんてスキンヘッドに髭モジャな体毛フサフサのタトゥーがバリバリ入ってるおっさんの絵しか浮かばない。どっちかといえばアウトドアが好きだけど、ここは安全にインドア派って言うのが吉だろう。

 

そう思い彼は、店員さんに「インドア派です」とはっきりと伝えたそう。それを聞いて店員さんは「あとは全部俺に任せろ」的なことを言って無言で散髪を始めたそう。そして待つことしばし。当時住んでいた寮に帰ってきた彼を見た私と他の友人達は大爆笑。

 

彼は見事な丸刈りで帰ってきた。まったく奇をてらうことのない、混じりっけなし純度100%の丸刈り。なんなら地肌の色が見えちゃってるくらいの短さ。あまりにも見事すぎて、逆に彼の頭の形の良さに感動したほど。みんな口々に、「やっくん(彼のアダ名)って頭のカタチ綺麗だね...」と。

 

彼曰く、何度も「僕はインドア派ですインドア派です」って言ったから店員さんの聞き間違いはないはずだ、と。もしかしたら本当はアウトドア派な彼の本性を店員さんは見抜いていて、だから丸刈りにされたのかもしれないなどと意味不明なことを口走っていた彼は、丸刈りにされて相当気が動転していたんだと思う。なんにせよ、インドア派と言ったら丸刈りにされる。そしてその場にいたみんなに浮かび上がった疑問は、アウトドア派って言ってたら一体どうなったんだろうということ。カミソリで綺麗さっぱりスキンヘッドだろうって結論になったけど、とりあえずこの話を聞いてアメリカの床屋には髪を切りに行ってはいけないと決意した。

 

こんなのが自分で髪を切り始めたきっかけでした。